Fの足跡2(Chap21〜40)

 
Chap40:Money Eater
2004/2/1 17218歩(累計742199歩)
  日曜日。なのに、なぜか私は会社にいる。う〜む、一時的なものとはいえ、こんなに忙しくていいのだろうか。プライベートなどあったものではない。それに、給料の問題もある。このペースで出勤し続けると、今月の給料日には大企業の管理職並の給料を手にする計算になるのだが、果たしてこの会社に支払い能力があるのかどうか……。
  会社から自宅まで歩いたのだが、まっすぐ歩いたのではたいした距離にならないので、わざわざ明治通を経由する。だからといって、「交通費はいらないよ」というわけではない。もらえるものはすべていただく。今の私には、金が命だから。
 
Chap39:Circle 6.5(N)
2004/1/24 13689歩(累計724981歩)
  久々に電車のある時間に解放されたので、会社から家まで歩いて帰ることにした。Chap20で環6と環7の間の都道を南半分だけ歩いたので、今回はその北バージョン、いわゆる中野通りを北へ歩く。終電をなくしたときには車で走るルートなのだが、歩いてみるといろいろと目新しいものも目につくものだ。特に、中野駅周辺はいろいろなイベントや店が多く、歩いていて楽しい。未食の駅そばもたくさん発見した(ただし、時間が遅かったため閉まっていた)し、見慣れぬ牛丼屋、怪しげな喫茶店などがたくさんあった。結構、住んで飽きない街かもしれない。
 
Chap38:Axis
2004/1/12 22238歩(累計711292歩)
  初めてゆりかもめに乗って(新橋→台場310円。高ぇ)、台場駅からスタート。そして、いきなりメインの船の科学館へ。今、ここでは奄美沖で巡視艇に銃撃戦を挑んで沈没した、北朝鮮の工作船が展示されている。入場無料。これはぜひ見ておかないとね。ところが、場内に入ると、あまりの人の少なさにびっくりした。え? こんなに関心低いの? もう半年以上展示されているのに、入場者総計は約150万人。東京都の人口の1割強だ。これじゃあ日本に未来はないな。みんな、ミサイルが落ちてもノホホンとしてるつもりなのかな。
  ミニギャラリーを用意したので、せめて、写真だけでも。 
 
Chap37:Loveletter From Russia
2004/1/8 20346歩(累計689054歩)
  今日は朝から北風が強かった。正午頃にピークを迎え、歩き始めた午後2時半の段階でもビュービュー。夕方になって一時落ち着いたものの、陽が暮れてから再び強くなった。特に、最後の田無駅→ひばりヶ丘駅の一本道は、ずっと向かい風。左手の甲の感覚がほとんどなくなるほどだった。ポケットに左手を入れていると、万歩計が正常に作動しない危険性があって怖かったから。
  日本海側には豪雪を、太平洋側には異常乾燥をもたらす、ロシア(シベリア)からの贈り物。何千キロも旅をしてきて、よくもまあこれだけの冷たさを保てるものだ。
 
Chap36:MEIJI St.(NE)
2004/1/5 16741歩(累計668708歩)
  今回のテーマは、明治通りの北東部。普段、池袋や新宿で馴染みのある道だが、この辺りは全くの未開の地である。
  まず私がびっくりしたのは、恐ろしく道が空いているということ。王子から亀戸まで、ほぼ渋滞はなし。正月が明けたばかりで、まだ本格的に動き出していないのかもしれないが。東向島駅・小村井駅の駅そばもまだ正月休みだったし。
  もう1点は、京成曳舟駅前、小村井駅前と2カ所も踏み切りがあったということ。明治通りに踏み切りなんて、そんなのあり? しかしそれでも渋滞しないのだから、なおのこと驚きである。池袋や新宿では考えられない話だ。
 
Chap35:Brand New Year!
2004/1/1 18100歩(累計651967歩)
  一昔前までは、元旦の東京はゴーストタウンだったものだ。人気のない大通りを走り回るのが大好きで、元旦には決まって車で都内に繰り出していた。しかし、不景気の影響なのか、最近は正月も渋滞する。後楽園ゆうえんち前の白山通り、外堀通りと平行する首都高速5号線などはノロノロ状態だった。以前に比べて開いている店も多いし、遊園地前を通れば常に「きゃーきゃー」と黄色い悲鳴が飛び交っている。かつての正月の気分を、もはや味わえなくなってきているのだ。正月が「特別な日」である要素が一つなくなってしまったように感じられ、喧噪が寂しく聞こえた。
 
Chap34:Requiem For My Dear
2003/12/30 21734歩(累計633867歩)
  葬儀が終わって、祖母は無事に故郷の宇和島へ旅立った。しばらく寝たきりだったとはいえ、今まで当たり前のように存在していた人間が永久にいなくなってしまうというのは、やりきれない寂しさがあるものだ。よく、肉親と死別してうつ病になるという話を聞くが、そのメカニズムがよく分かる。
  しかし、私は多忙の身。うつ病につきまとわれている場合ではない。一刻も早く元の生活を取り戻すためにも、外を歩いて、気を晴らさなければ。いわば、今回の漫歩が鎮魂歌だ。明治神宮を参拝できなかった(まだ喪が明けていないので)のは残念だったが、これで成仏できるものと信じたい。
 
Chap33:Life Goes On ...
2003/12/25 17186歩(累計612133歩)
  祖母が亡くなっても、不思議と泣かなかった。涙が上がってこないのだ。その代わり、強烈な不眠に陥ってしまった。起きているとそれなりに眠くもなるのだが、いざ横になると目が冴えてくる。これからしばらくはこういう生活が続いていくんだろうなぁ。そして、時は無情に流れて、いつしか眠りを呼び覚ますのだろう。祖母のことは決して忘れないが、誰が亡くなっても、誰と別れようと、眠れようが眠れまいが、新しい日々が規則正しくやってくる。こうして、日々を生きていくのだろう。
  一昨日決心したばかりの「毎日漫歩」は、たったの3日で終了。しかし、私は日々を歩いていく。歩き続けなければ。
 
Chap32:Reach For Heaven
2003/12/24 23319歩(累計594947歩)
  祖母に捧げる漫歩第2弾。杉並区役所前から狭い狭い路地をひたすら南下し、浜田山を越えていく。しかし、浜田山一丁目交差点にさしかかったとき、携帯の「カノン」が高らかに鳴り響いた。祖母・上田スエ、2003年12月24日、永眠。享年94歳。幼い頃はよく遊んでもらい、大きくなってからはよく遊ばせてもらった、祖母。つい1週間前までワガママばかり言っていた、祖母。恥ずかしがりやで写真嫌いな、祖母。ファミコンのテトリスが大好きだった、祖母。人が何かに集中しているときに限って耳元で鼻歌を歌う、祖母。そして、もう会えない、祖母。今は、もう、動かない、そのと〜け〜い〜。
 
Chap31:Road To Heaven
2003/12/23 21813歩(累計571628歩)
  1カ月前から入院していた祖母の容態が急変し、いてもたってもいられず、掟破りのナイトハイクを敢行、実家に駆けつけた。夜中の3時前にアパートを出て、冷たい風に頬を叩かれながら、西へ。約3時間、東の空がようやく明るくなり始める頃、実家に着いた。祖母の具合は芳しくなかった。目も見えず、声も出せず、金魚のように口をパクパクさせるばかり。口と鼻には酸素マスク、腕には点滴、指先にもわけの分からない管が刺さっていた。もう、長くないだろう。
  決めた。私はこれから毎日、祖母に漫歩を捧げる。雨でも雪でも、祖母の命の火が消えるまで、私は歩き続ける。
 
Chap30:Philosophia
2003/12/17 16576歩(累計549815歩)
  バス停や交差点の名前になっているので、昔から身近に感じていた、哲学堂。しかし、中に入るのはこれが初めて。大きな建物があって、哲学の偉人に関する展示でもあるのかという先入観があったのだが、実際には広い自然公園である。これがなぜ、哲学なのか。園内を歩いてみて、腑に落ちた。起伏が多い上、四阿や碑物が多く、遊歩道も極端に狭く迷路のようになっているため、思案に耽りながら歩くのにピッタリなのだ。というか、歩いているうちに自然と手を後ろで組み、ブツブツと呟いてしまう。「哲学堂」とは、言い得て妙。やるな、中野区。デジカメが復活したら、また歩きに行きたい。
 
Chap29:The Last Moment
2003/12/16 19340歩(累計533239歩)
  別れは、常に辛いものだ。その直前までは無邪気にはしゃぎ回っていたのに、夜道を歩いていると涙が出そうになった。こんな日に限って、北風が強い。駅そばを2杯食べて一時的に暖をとったものの、寒風は容赦なく体温を奪っていった。熱いものがこみ上げても、北風がすぐに冷ましてしまう。
  理由あってあまり詳しくは話せないのだが、私の青年時代を彩った1ページが今、めくられた。ここのところ東京駅発の漫歩が多くなっていたが、この傾向は今回で打ち止め。明日から、新たな1ページが始まる。次ページに進むためには、古いページは閉じなければならない。人生って、本みたいだ。
 
Chap28:Empty
2003/12/14 13050歩(累計513899歩)
  ぬおぉぉぉぉぉ! デジカメが壊れたぁ〜! 2年半愛用してきたおもちゃデジカメが、遂にご臨終。今回は高島平団地を紹介しようと思っていたのだが、写真なしでは話にならない。先日携帯をカメラつきに変えておいて正解だった。漫歩の写真は写メではショボすぎるが、とりあえず駅そばの写真はこれで間に合う。というわけで、今回は単なる駅そば巡りになり下がってしまった。その駅そばですら、今回の収穫は志村三丁目「ことぶき」だけで、志村坂上「竹風亭」、西台「まきおか」は日曜休。実りの少ない、空しい一日であった。……ってか、早いとこデジカメを調達しないと。
 
Chap27:Not Satisfied
2003/12/10 18916歩(累計500849歩)
  古くから江戸っ子に親しまれ続けてきた築地市場が今、消滅の危機に瀕している。5〜6年前から取り沙汰されてきた問題ではあるが、開場70周年が近くなって老朽化が目立つため、取り壊して豊洲に移転しようという構想なのである。
  しかし、東京を愛する者にとっては、すんなりと頷けない。これは、鮮魚流通業界だけの問題ではない。市場が消えれば、周辺の雑踏のような商店街も同時に消える。いわゆる「築地ブランド」も暴落する。巨大ビル群に囲まれつつなぜか生臭さが鼻を突く、築地にしかない空間が失われるのだ。東京はまた一歩、無機質化への道を歩んでしまうのだろうか。
 
Chap26:Woodlands
2003/12/7 21207歩(累計481933歩)
  私の父が木を扱う仕事をしている関係で、新木場には幼い頃から頻繁に来ていた。しかし、夢の島公園にあの第五福竜丸が展示されているとは知らなかった。しかも、入場無料。船体の大きさの割に施設が小さいので、全体の写真は撮れなかったが、スクリューエンジンをパチリ。
  新木場から北西へ小一時間、木場へ。その名の通り、かつてはここに貯木場があった。逆に言えば、それだけ東京の面積が広がったということだ。東京湾は、いつかなくなってしまうんだろうなぁ……。木場公園からは、山吹色のイチョウ紅蓮の紅葉をどうぞ。Chap24の借りを返せました。
 
Chap25:Round Around
2003/12/2 14867歩(累計460726歩)
  落日間もない内堀通り。ウィンドブレーカーを着た人々がジョギングし、外郭の高層ビルには四角く切り取られた灯り。門前のガードマンが持っている誘導灯が妙に目に触る。そしてお堀には、なんと白鳥。え? こんな所に白鳥? 一瞬、目を疑ってしまう。私はこれまで、東京に住みながらもあまり東京を見ないで暮らしてきた。これは実に勿体ない話で、内堀通りを一周するだけでもかなりのビューポイントに出会える。三宅坂上から望む桜田門方面、皇居外苑から望む大手町方面などは、特に絵になる。今度は昼間に訪れて、素晴らしい写真をお見せしたいものだ。今回は、そのロケハンかな。
 
Chap24:Mottled Red
2003/11/27 12807歩(累計445859歩)
  普段は17時で閉園してしまう六義園だが、毎年11月後半の10日間くらいは、午後9時まで開園している。お目当てはもちろん、紅葉のライトアップ。六義園は、1702年に川越藩主の柳沢吉保が築いた庭園。明治時代には岩崎弥太郎が別邸に使用し、その後、東京都に寄付され、現在では国の特別名勝に指定されている。しかし、誠に残念ながら、今年の紅葉はあまりきれいなものではなかった。真っ赤に染まらず、緑と黄色と赤と茶色が混ざったような、斑模様になってしまっていた。ガードマンによると、気温の変化が一定ではなかったためなのだとか。また来年、再チャレンジだな。
 
Chap23:Scoooooop!
2003/11/24 21499歩(累計433052歩)
  多摩都市モノレールを特集しようと思った漫歩だったのだが、桜街道駅付近で偶然に火事場に遭遇し、こちらをメインにせざるを得なくなった。上空にはモウモウと黒煙が上がり、辺り一面消防車のサイレンだらけ。ゴムが焦げるような臭いが充満していたので、燃えていたのは工場の類だろうか。一応、写真を。5分後が、これ。意外だったのは、これだけの黒煙を目にしても、通行人のほとんどが足を止めなかったということ。これが「都会の無関心」というやつなのだろうか。
  モノレールの写真も少々。立川北駅付近泉体育館駅付近、現終点の上北台駅。北正面への延伸が待ち遠しい。
 
Chap22:Artery Thrombosis
2003/11/22 21506歩(累計411553歩)
  板橋区の大和町交差点に続く公害のメッカ、谷原交差点。新目白通りと笹目通りが交わる交通の要衝で、日夜を問わず、車が途絶えることがない。今日は土曜日で、平日よりは道も空いているはずである。それなのに、西のどこを見ても、交差点に進入しようとする車が列をなしていた。南側は一見空いているように見えるが、これは立体交差がそう見せているだけ。右の側道にはしっかりと列ができているのが分かるだろう。
  まるで、心筋梗塞。発作が起きて息ができない。声も出ない。耳を澄ませば、無言のSOSが聞こえてくるようだ。
 
Chap21:Imitation Indigo
2003/11/21 12870歩(累計390047歩)
  夜の一千万都市・東京。街灯りは絶えることなく、閃光にも近い鮮やかさで両目に突き刺さってくる。この光が空に反射しているのだろうか、夜空も闇の帳を降ろしきることができず、藍色を呈している。もちろん、星など見えない。黒ではなく、藍色。それも、作り出された藍色。これが東京の空だ。
  この色に、東京ドームやスパ・ラ・クアのネオンが妙に映えている。ネオンは色とりどりだが、中でも、青い光を発している部分に目を奪われる。空は深海のような藍。ネオンは目立つだけのために生まれたような、鮮烈な青。青同士のコントラストが東京を象徴しているように思えた。
 


戻ります。